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2012年5月28日 (月)

胃婁

 ばあちゃんの誕生日から2ヶ月が過ぎようとしている。
けいこたんは、公私ともに忙しく、以前のように、夜中にパソコンを更新する気力がなかった。
それに、ばあちゃんは、けいこたんがどんなに声をかけても、反応の薄いことこの上なく、けいこたんの元気の素にはなってくれないのである。

 結婚して間もなくの頃、当時横浜に住んでいたけいこたんは、熊本のばあちゃんに、ご機嫌伺いの電話をかけたことがあった。
ばあちゃんは、けいこたんが挨拶から始めようとすると、「なんか、用な?」
「別に用ではなかったんですけど・・・」
「ほな(さいならを含む言い方)」と電話は切れた。
当時、パパとも、あまり会話が出来なかったけいこたんに二の句が継げるほどの勇気はなかった。

 付き合いが長くなってくると、ばあちゃんはパパと同じく、余計なことを口にする人ではなかったせいかもしれないと思えたりもする。
そうしてみると、声をかけても、反応の少なさは合点がいくようないかないような。

 さて、先月の終わり頃、担当のH先生から、やはり、胃婁をしたほうがよいでしょうとのお話があった。
3年前、倒れた直後は胃婁をせざるを得ない状況の中で、ばあちゃんはなんとか、ゴックンを繰り返し、自分の左手でかろうじて食べるまでになっていた。
だが、次第に食べる量も減り、そうすると、褥瘡ができやすくなり、そこから感染と負の連鎖が始まるきっかけにもなりやすい。
そのため、口から食べるのをとっくに中止され、じいちゃんがしていたと同じ鼻チューブからの経管栄養に切り替えられた。
以前のばあちゃんなら、チューブをすぐに抜き取ってしまうのだが、その元気もなかった。
じいちゃんの時も、胃婁はしないでと依頼したが、鼻からのチューブの交換は、本人にも苦痛だし、肺炎などの感染の懸念があった。

 今回、3度目の胃婁の話に、パパは承諾した。
手術は先週の月曜日(5/21)に実施された。
ばあちゃんには、麻酔されてても、かなり苦痛を伴う手術だったそうである。
看護師さんから「よく頑張りましたねえ」と声をかけられていたが、それには反応せず、じっと天井から吊り下げられた栄養剤の入ったボトルのほうに目をやっていた。
見ていて胸がつまる思いがした。

 「褥瘡がこれ以上酷くならないためにも、鼻からのチューブの交換で苦しい目に会わないためにも、今回の胃婁は仕方ない処置だったんだね」と、パパに言ったけいこたんは、半ば自分を納得させていると感じていた。


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